京都コンピュータ学院と京都情報大学院大学(KCGグループ)が中心となって設立した「京都マンガ・アニメ学会(Kyoto Association for Manga and Anime Studies)」は2015年2月14日(土),第1回研究会を京都情報大学院大学 京都駅前サテライトで開きました。京都国際マンガミュージアム研究センター長で京都精華大学マンガ学部長の吉村和真氏による基調講演や研究・作品発表などがあり,訪れた多くの学会員が議論を交わしました。同学会は,マンガ・アニメにかかわる企業,教育機関,クリエイター,研究者のみならず,中・高校生を含めた一般のファンでも入会できるのが特徴で,国際的な日本のマンガ・アニメ人材のネットワークづくりを目指して今後も活動を続けていきます。
研究会では,先立って開かれた理事会で同学会会長に就任した長谷川亘KCGグループ統括理事長が「日本文化・伝統文化の象徴であるこの京都の地に誕生した学会を,世界に冠たる存在となるよう会員の皆さまとともに歩んでいきたい」とあいさつ。理事会で決定した▽交流ポータルサイト,公式サイトの「.kyoto」ドメインへの移行▽京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)2015への参加▽京都国際マンガミュージアムの書籍データベース化とポータルサイトとの連携-など2015年度の活動計画が報告された後,吉村氏が「マンガ・アニメを学問にする意味 〜日本・京都・大学」と題して話しました。
マンガ学部で教壇に立つ吉村氏は「『マンガは学問の対象になるのか』,『国がアニメの施設構想を発表したが,こんなことに税金を投入してよいのか』などという声がよく聞かれますが,私はごく健全な意識から生じる疑問だと思います」と前置きし「日本では国民が絵本も含めマンガやアニメから無意識のうちに知り得ている情報は数多く,“母国語”にも例えられると思います。また,マンガの新古書店が世界のどの国よりも圧倒的に多いことからも言えるように,日本人にとってマンガとの距離が非常に近い。このような環境に,制作・流通・発信工程の急速なIT化が加わり,アニメも含めここ二十数年来にわたって世界から注目を集めるジャンルに成長しました」と強調。「日本の業界では海外などにおける海賊版の存在に頭を悩ませていますが,裏返せば海賊版が日本のマンガ・アニメのクオリティの高さや知名度を世界へ飛躍的に拡大させている事実もある」などと例を挙げながら,京都マンガ・アニメ学会に向け「未来を常に見つめる京都のポテンシャルを背景に,率直な議論ができる開かれた場として活動を進めてほしい」と要望しました。
引き続き,▽アニメ・フェスティバル・アジア・インドネシア2014への出展報告▽本学会の書籍ポータルサイトの構築とその問題点▽京都マンガ・アニメ学会とドット京都▽京都国際マンガ・アニメフェアに関する報告▽京都版トキワ荘事業 活動レポート▽オリジナルストーリーのアニメ製作▽ショートストーリーアニメのCM製作▽手書きアニメーションによるミュージックビデオの製作▽オリジナルストーリーの影絵アニメ製作-の研究・作品発表があり,懇親会も催されました。
京都マンガ・アニメ学会は,2013年9月に京都市勧業館(みやこめっせ)で開かれた「京都国際マンガ・アニメフェア2013」(京都市など主催,京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学など共催)の場で産声を上げました。広く会員を募集しています。